「耳の中のアブ」児童書ですが、なんだか深い。お母さんが子どもに与える影響力。気持ちをきちんと伝えることが大切です。

 

「耳の中のアブ」

という本を読んだことがありますか?

 

たまたま手に取り、

あらすじにあった「言霊」という文字に惹かれて

読んでみました。

児童書なんですが、なんだかちょっと深い。

お子さんと一緒に

お母さんにも

読んでもらいたい一冊です。

 

耳の中にアブが入って以来、

主人公の小学5年生のキリコは

友達の心の声が聞こえたり

幼い日の自分と出会ったりと

不思議なことが起こります。 

その中で

母親や友達との関係において大切なことを学んでいきます。

 

これから読まれる方もいらっしゃるかと思うので

詳しい内容は省きますが、

お母さんとの関係が子どもにとってどんなに重要か、

子どもの性格や友達との関係

自己肯定力など

様々な点で、深い影響を及ぼしていることがわかります。

 

以下、文中より抜粋した文を一部ご紹介します。

(児童書のため、ひらがなが多くて読みにくいかもしれませんが、そのまま載せています。)

 

 理由なんてどんなのでも、もうききたくない。

期待するのはもうよそうときめた、七歳のキリコがいた。

 

わかってくれているはずだと思いこんでいたかもしれないって。

思いをつたえるって、きちんと表現しなくちゃ意味がないんだなあって、

今さらだけど、ほんとうにそう思うの。

このアタシが?ってわらうでしょうけど、

ときどき不安でたまらなくなるのよ。

  (キリコのお母さんからの手紙)

 

そばで女の人が後ろを向いて、一心になにかをしていた。

女の子が人差し指で、その人の背中に指で何かを書いた。

でも女の人は、自分の目の前のものに夢中になっていて、気がつかない。

そばにいるけれど心は遠くはなれていて、

まるで後ろ姿しかないかのようだった。

 

心の底では、(お母さんに)きらわれたくなくて必死なのに、がまんできなかった。

ゆるせないと思った。

それなのに悲しくて涙が出た。

 

「キリコはなんにもわかってないのよ。あたし、どうすることもできなくて。

なにもかも……ママはわかってくれなくて、あたしはママの人形じゃないのに!

(友達のコンパがキリコへ言った言葉)

 

コンパはきっと、お母さんの期待にこたえようと、せいいっぱいなのだ。

 

もしかしたら……コンパも、お母さんのぬくもりを、求めているのかもしれない。

お母さんに、自分の思いを受けとめてほしいのだ。

 

キリコは自分でも気づかないほど心の奥で、自分のせいでお母さんにきらわれていると、思いこんでたようなのだし。

 

「ああ、おとなだって進化するんだぜ、ほんと……」

おとうさんは大まじめな顔で、でもちょっと照れた。

そうか……そうなんだ。キリコはお父さんの目をまっすぐに見つめて思った。

お父さんとお母さんも、いろいろな思いをかかえて今があるのだ。

そう思うと、なんだか勇気がわいてきた。

お父さんもお母さんもキリコと同じ進化中なんだと思った。

 

 

「あたし、お母さんにはわかってもらえないんだって、もうずーっと前からあきらめて、いやなことはみないようにしてきたの。

でもそれって、自分にも、うそをついてきたってことだったの。

 わかってもらおうともしてなかったし、自分の思っていることを、まっすぐにぶつけてみようともしてなかったの。

でも、親子だって話し合わなきゃわかんないし、おとなもなやんだり苦しんだりして変わるんだってこと、あたし少しだけわかったの。

 

大人になってからも

お母さんとの関係性がトラウマとなって

苦しんでいる方が

多くいらっしゃいます。

 

いつも一緒にいる家族だから

言わなくてもわかってくれるだろう

ではなく、

いつも一緒にいるからこそ

気持ちをきちんと伝えることが大切なんだなと

改めて思いました。

 

自分の心の声を言葉で伝える勇気を持ち

相手の声を

受け入れる心の余裕を持って

共に過ごしていきたい。

そう思います。