要らぬ縁を切るための、奇跡の左折。
ある朝、急な来客がありました。
久しぶりのAさん。
こんな早くに、連絡もなしに何かあったのかと心配しましたが、
玄関を開けると、変わらない笑みで安心しました。
お里帰り中の娘さんを送っていった帰り道、
右に曲がるところを何故か左折し、
気が付くと私の家にたどり着いていたんだそうです。
お茶を飲み始めてすぐ、Aさんの電話が鳴りました。
でも、2度鳴って、すぐに切れたのです。
慌ててでようとしたAさんは、折り返し電話をかけながら
「Bさんからの電話、いつもこうなんだよね」と苦笑い。
電話の用件は、
10キロ以上離れたところに住んでいるBさんを迎えに行き、
遠くにある自分の仕事場まで送ってほしいとのことでした。
それを断ると、じゃあ、帰りだけでもとねばります。
わざと電話をかけなおさせたり、送り迎えに使ったり。
そのようにしか人と付き合えないBさんの元には、
誰一人として残っていませんでした。
そして、最後まで残ってくれていたAさんとも
そのような付き合い方しかできなかったのです。
Aさんに言いました。
「せっかく運の良い人生なのにもったいないよ!
そういう人の側にいると影響を受けて、せっかくの運が下がってしまうかもしれないよ。」
少しずつ距離を置くようにしようかなと言っていたAさんでしたが、
最後には、
「やっぱり断って、離れるようにするね!」
そう言って、笑顔で帰っていったAさん。
もしかしたら、要らぬ縁を切るために必要な左折だったのかもしれません。
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